ケイトモートンの作品は いつものことなのだが
時代が行ったり来たりを繰り返し、
会話の主人公が入れ替わり
そうやって 語られる中に 事件の筋道がちりばめられ
それらをまとめて正しい位置に嵌め込むことによって
誰がなぜ、どのように それらを行ったのか が解明され
解明された事で あらたな感動が沸き起こる。
といった流れ(注:個人の感想ですw)
なのでありますが 今回も多分に漏れず いや更にそれに磨きがかかり(?)
読了後に 謎の爽快感をもたらす。
いやぁ 今回も ない頭をフル回転させ
疲れ切った最後の最後にそうきたか!
もう、最後 ボロボロ涙が勝手にながれてきてですね。
いやぁ~ 本当に面白かった!(←語彙力なし)
昔「ローアンネス」でおきた幼児失踪事件
現在 子供を置きざりにしたまま失踪した母親を追う事件
この二つがまじりあいながら
「ローアンネス」の現在の持ち主 失踪した幼児の姉「アリス」
と
失踪した母親の事件にかかわる 刑事「セイディ」
二人の過去と現在が絡みあいながら話は進んでいく。
ケイトモートンらしく 過去と現在があちこち行ったり来たりを繰り返す。
語り部もアリスとセイディ以外にもコロコロ変わる為、気をつけていないと意味がわからなくなる。
上巻。
丁寧に読み進めていたつもりだったけど 途中で何度か前に戻って読み直したりした。
そして、最後は年代順に読み直したりもした。
ちりばめられたパーツ。
犯人を想起させる文脈。
セイディと共に ローアンネスの事件について調べて行く。
犯人候補が次から次へと浮かんでくる
冒頭から不穏な空気をもたらし、後悔の念に苛まれている アリス
アリスが恋していた身分違い歳の差のある ベン
失踪直前に解雇された乳母 ローズ
こっそりセオを連れ出す癖のあった 三女クレミー
セオ捜索中に遺体となって発見された 父の友人医師であり作家の ルゥエリン
失踪したセオ は 生きているのか 死んでいるのか
事件なのか 事故なのか
誰かが連れ出したのか 自分で歩いて迷子になったのか
乳母ローズと父アンソニーの関係
セオの両親は本当にエリナとアンソニーなのか
ルゥエリンは本当に自殺なのか
クレミーがみかけたおぞましい光景(子供視点)とは
祖母コンスタンスが隠している事とは
失踪当日お酒を飲んで眠り全く気付かなかった乳母ブルーエンはなぜ何も問われなかったのか
真夜中過ぎに目撃された女性は誰なのか? (目撃談は信用にあたるのか?)
セイディが発見したふたつ目のトンネルはどう関係してくるのか
ベンの古くからの友人フローはお金に困っているという話を聞いて着想したアリスの処女作「バイバイベビー」
セオがいなくなってからのクレミーの行動
セオが生きていると希望を捨てなかったクレミーと死んでいると確信しているアリス
選択肢が次から次へと降りそそいでくる。
そして上巻最終で姉デボラがアリスに語り出すその結末は?
もう頭がグルグルしたまま前半(上巻)終了。
えーーー???
選択肢多すぎwww
そこに、まだ、セイディ自身が刑事として関わっていた母親失踪事件も絡んでくるから(@_@)
ここで一旦休憩。
なぜなら、「おげんさん」を観なくてはいけなかったからwww
で、「おげんさん」を満喫した後、
どうしても続きが気になるので、
まぁ、眠くなるまで、ちょっとだけ ね (^_-)-☆
と下巻読み始めたのが運の尽き。
途中でやめるの無理。
当初の予定では1時位まで読んで続きは明日。だった。のに。
ひとつひとつ 確認され、犯人から消去されていきつつも、新たに浮かぶ謎。
「シェルショック」
これが事件の真相に近づく鍵となる。
これをきっかけに、アリス目線で語られてきた多くの物語が今度はエリナ(アリスの母)視点から再度語られる。
そんな中、セイディ自身の問題も浮き彫りにされていく。
若くして生み、里子に出した娘の話。
セイディ自身の家族の話。
昔の事件と今の事件。
昔の刑事と今の刑事。
色んなものが複雑に絡み合い ひも解く結果が導き出される。
子供をなくした二人の母親と、セイディ自身の母親の部分の言動が比較され疑問点が浮かび上がる。
アリスの創造した名探偵までもが絡み合う
読み進める上で自分の頭の中で
最初はアリスが弟を死に至らしめた犯人で秘密をひた隠しにしてきたがセイディが「ローアンネス」に足を踏み入れ刑事のしつこさで謎解きをはじめ、とうとう告白する
みたいな話かと思ってたら 数ページで違うとわかり(w)
次はアリスの独白に誘導されたのもあり、ベンとアリスが共謀してセオを誘拐したが、途中でセオが手違いで死んでしまい、冒頭のアリスが埋めたのは「セオの死体」だと思ったけど
話の流れであぁ、これも違ったとわかりw
次はセオはローズとアンソニーの子供説だったんだけど これも違いw
「シェルショック」の話が出てきてアンソニーがセオを殺したんだ
そこにエレナとベンが出来ていた。実はセオはベンの子供だったという事実がでてきたので、それを知ったアンソニーが「シェルショック」と重なってセオを殺した。はい解決。
とまでいったけど これも違ったwww
まぁ、ぶっちゃけ 過去のアンソニーとエレナの日記と手紙が残っていなければ、
そこまで辿りつけなかったのかも知れないというところはありますが、
ちゃんと残っていて然るべきという設定が織りなされているので、違和感は全くない。
むしろ、それらを繋ぎあわせていくのが至高のお楽しみなわけで。
どんどん正しい方向に繋がっていくこの心地よさ。
ドキドキワクワクなわけで、そしてまたホッとするわけで。
過去の物語が終焉に向かう間に、現在の事件も新しい証拠が見つかり事件は急展開していく。
それも、新旧失踪事件捜査隊の手によってw
現代の失踪事件が解決したっていう話のあたりからは、涙が止まらない状況で読み進めたわけで、読み返す度に涙が止まらないわけで(;´д`)
それはなんでなんだろう?
って考えたんだけど、
「人を思いやる優しさ」が溢れているからなんだと 思いました。
何?私そんなに心が疲れてるというか荒んでたってこと?
現代社会は生き辛いってコトです。
人のやさしさに触れるっていうのは、心が震えるんですよ。
あらためて、自らを見つめ直していきたいとおもいます。はい。
あぁ~
いいラストだったなぁ~
幸せが溢れ出てくる。
この人達はこれからも、ずっとずっと幸せに暮らしましたとさ。
で 終わる物語。
ケイトモートンの作品は、ミステリーで、しっかり殺人事件やら、時代背景上戦争の悲惨さが書き綴られているにも関わらず、最後は心温まる幸せ溢れ出る終わり方するんですよね。
そこが本当に好きなんです。
あぁ、これ、もう一回読むんだけど、他作品も読み直したくなってきた・・・