ルメートル作品で、一番最初に読んだのがコレ。
手をつけた理由は、翻訳ミステリーシンジケートが毎年やってる、ミステリー大賞の候補作の中の1冊として挙がっていて、面白そうだったから。
http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/
ワタクシ、ひねくれているので、世間様が騒いでいると、食指が出ない傾向があるのでございますが、翻訳ミステリーシンジケートで紹介されたり、面白いとか言われてるのは、気になって、手に取る事が多いのですよね。
基本的には、昔から読んでいる作者さんの新作を読む。というパターンで、新手の作者に手を出すのって、勇気がいるんですよ。
翻訳ミステリーシンジケートで気になったの 以外で、読んだことない作者さんの本に手を出すとすると、
1)タイトルが妙に気になって仕方ない。
2)表紙がものすごく気にいった。
この2パターンです。
あんまり、本の帯やら、POPやらは気にしません。
とにかく、本屋さんに行って、その本を見て、ビビっとくるかどうか で、新手の作者さんを読むかどうかが決まります。
つまり、新手には基本的に手を出さない・・・・・
一応、今まで、このパターンで買ってきた本で、大外れはナイです。
で、まぁ、これは、シンジケートで気になってて読んだら大当たりだったパターン。
この本のお陰で、ルメートルの他の作品が発刊されると、発売当日に買いに行くほどになってしまいました。
この作者の作品は、好みが分かれるとは思いますけど。
なんだろう? 救われなさそうな中に救いがあるから? この、どんでん返しをくらう度に、「うぎゃ!」と叫んでしまわずにはいられない感覚?
とにかく、ワタシには、はまりました。
そんな「その女アレックス」
「悲しみのイレーヌ」が発売されたのに伴い、改めて、続きとして読んでみた。
初めて読んだ時の衝撃もさることながら、「悲しみのー」を読んだことにより、本作の中にちりばめられた部分が、より、文中の内容に光をさすようになり、改めてうならされたのであります。
前にも書いたが、やはり、このカミーユ、ル・グエン、ルイ、アルマンの4人の活躍?が、面白いし、前作で重要(?)な役割だったマレヴィルのその後にもきちんと触れていて、前作をよみながら、「こいつ、このあとどうなった!?」という、心配(?)にも、きちんとこたえてくれていたのであります。親切(?)ね。
代わりと言っては何ですが、新たにイヤミーな予審判事ヴィダールさんが参加して、彩を添えてくださっています( *´艸`)
話の展開に驚きながら、読み進めていった初回。
しってても、ドキドキする展開(@_@)
アレックス(以下A)は、誘拐被害者である。
が、なぜ、誘拐されたのか。普通なら、「被害者」であって、不運で、可哀想な立場だと思われる。実際、ひどい目にあう。身代金目的ではないわけで、読み進めると、「誘拐」が「誘拐犯」にとっての目的ではなかったことが明らかになる。誘拐犯は、殺害目的で、Aを誘拐したわけで。
もう、それは想像を絶するやり方なのだが、そうされたのにはワケがあり、ある意味、「誘拐犯」の心情になれば、そのくらいやっても仕方ないと思われるような事実があきらかになってくる。
そう、A自身が「シリアルキラー」だったのだ。
この、殺害の仕方は、Aが殺されそうになったやり方に負けずおとらずひどい。そしてAに、罪悪感は全くない。
が、Aは、なぜシリアルキラーになったのか というと、これまたAが「被害者」であったことが判明する。
そして、すべての成り行きは、Aが自分を今の自分したらしめた、兄への復讐だったのだ。
そこまでするか!? というレベルであるわけで。でも、そこまでしたAの気持ちに、同情できるレベルの事を兄はしたのであるわけで。
そう考えると、Aは、本当に、可哀想になってくるのだ。Aの為に、涙が流れるAはシリアルキラーなのに。Aが可哀想!
兄は実際、Aを殺害していないが、殺人容疑で立件されて終わる。
「おれはやってない!あんたたちはわかってんだろ!?」と叫びながら・・・
なんとも後味の悪い、兄にとっての幕切れ。
しかし、Aにとっては痛快な幕切れ。自分の命をかけてまで、陥れた最高の結末なのだ。
そんな、醜い、兄妹、親子関係の話の合間に、カミーユ、ル・グエン、ルイ、アルマンの熱い信頼関係が救いを与えてくれる。カミーユにとって、この3人は本当に大切な仲間っていうのがしっかり描かれていて、ほっとさせられると共に、アレックスの人間関係との対比が浮き立っているのであります。
この4人であれば、どんな、不可解な、不快な事件であっても、きっと解決してくれるだろう。私達の望む形で。
そして、ドゥドゥーシュの愛らしさも忘れずに(*´ω`*)
猫を飼いたくなりますね(*´ω`*)
続きの翻訳、はよ!