タイトルに惹かれまして。
出版された当時に、いきつけの本屋さんで見つけたんですけど、
その時は、気になりながらも、
「まぁ、今じゃなくて、後でもいいよね、買うの。」と、すぐに買わなかったのです。
そしたら、いざ、買おうと思った頃には店頭から消えていてですね。
自分の行動範囲の本屋さんは、ひととおり回ったのですが、なくてですね。
Amazonさんで買うか、どうしようか と思いながら約1年。
積読本が山のようにあるので、買ってもすぐに手はつけられないだろう とか自分に言い訳してたんですね。
で、こないだ。
ちょっと出かけた先の新しくできた大型書店さんに行った時、なくて当たり前位に思いつつ探してみたら あったわ(´・ω・`)
そんなもんなんですかね。
買ったら買ったで、読みたくなって、積読本を差し置いて、先に手をつけてみた。
そんな、ある意味軽く読み始めたこの作品。
これは・・・・
なんという重さ。
いや、重い ではないのか?
人間が生きる 生きている という事に対しての考察?
人はなぜ、生きるのか。
必ず「死」ぬのがわかっているのに、なぜ生まれてきて、生きるのか。
生きるとは何なのか。
人って何なのか。
家族って何なのか。
今の自分があるのは、どういう事なのか。
過去のあの時点で自分が考え抜いた(であろう)選択をした結果が、「今」の自分なのだけれども、もしも、あの時、違う選択をしていたらどうなっていたのだろう
と、いう思いは 生きている中で、繰り返し頭の中にリフレインしてくる
が、SFはともかく、今、生きている自分にやりなおす事はできない。
それを いかに受け止め、自らを認め、さらけ出し、受け入れ、先に進んでいけるか。
なにこれ。
哲学?
心理学?
でも、宗教ではないのよ。
死生観を問いただす。
自分の中の死生観を見つめることで、どう生きるか を考えさせられる。
人生とは、長いようで、かくも短いものなのである。
何の為に生きるか。
読み進めながら、口からぼそっと漏れる言葉は「なんだ、これ・・・」
自分にも、当てはまることだらけの、登場人物たち。
思わず、「え?」と思わせられてしまう。
登場人物の台詞は、考えは、それはまさに、自分が考えた事、口にした事のある事であり、その度に、戸惑う。
そして、なぜ、自分が今、こうしているのかを考えさせられる。
それは、あの時、選択した結果。
考え始めると 恐ろしい。
人との出会いも、全て、そういう事の積み重ねなんですね。
人だけではないか。
私達は、何のために生まれ、生きて、死んでいくのでしょうか。
ページをめくる度、格言のような言葉がそこかしこにつづられ、気になる部分に付箋をつけていたら、付箋だらけになってしまいました。
あまりに付箋だらけなので、少し整理しようかと思ってそこをめくると、はがすどころか、更に貼り付けたくなってしまう。
この本を読みたいと思ったのは、本に呼ばれたのかもしれないなぁ
と 読んでみて、感じた事ですね。
私は、この本を読みたかったのだ、読まねばならなかったのだ。
これも、「バタフライ・エフェクト」なんでしょうか。
この作者の本を読んだのは、これが初めてなんですが、
作者の本 のところをみたら、他にも、本屋さんに並んでいたときに、気にはなるものの、今度でいいか と先延ばしにし、そのまま店頭でみかけなくなった本がありました。
それも、探して読もうと思います。
深い、ふかーい、本でした。
なんだろうなー深淵からのぞき込まれてるカンジよ。うん。
ぞっとするというのではないの。「ソフィー」とか「いつもお城で暮らしてる」とか「霊応ゲーム」は、ぞっとするカンジでしたけど、これはそうではない。
穏やかに死を迎えるって、こういう事なのだろうか と 思わせられる所で終了するのです。
主人公ボーディルにとって、「マルガレータ」 と いう女性と出会ったのも、バタフライ・エフェクトなのだとすれば。彼女が救いの女神。
それほどに マルガレータ という女性は、素敵な人なのです。
自分も、いつか死ぬ
愛する人々も いつか死ぬ。
「死ぬ」ということは「生まれた」からには、ついてまわる出来事。
始まりがあれば、終わりはある。
終わり というのは、自分だけのものでなく、残された人々に影響を与える。
高齢化社会を迎えている今、 自分も、自分以外の人も、いつかは死ぬのだ ということから目をそらさずに、じゃあ、どう生きるのか と その人にとって良い選択をできるように、サポートできる世の中を。
死ぬ当人と、残される周りの人と お互いが納得できる、満足できる選択をできるように。
マルガレータは、第三者側の立場として、理想の人物だと思うのです。
お互いが満足できるよう、サポートしている。
彼女のとった言動が、今の高齢化社会に生きる私達には、必要なのではないかと。
あぁ、良い本を読んだ
と
読めて良かった と
そう思いました。
ヘレンハルメ美穂さんの翻訳本は、ハズレがない気がしてきた。
北欧ミステリ に ハズレがない のか?
いやいや、両方だ、両方。
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