小さい出版社に勤める千花子
フリーカメラマンの一斗
ふたりはDINKS。
生い立ちに色々あって、千花子は子供は要らないと思っていた。
千花子の仕事はロハスな雑誌ENDLESSの編集。
その企画で、出産に関する特集を組むコトになった。
「出産の企画を立ち上げると、誰かが妊娠する」というジンクスがあるらしい。
そして、千花子の妊娠が発覚する。
妊娠した事に戸惑う千花子。
妊娠を受け入れる千花子。
妊娠と共に、母親として成長していく千花子の姿を軸に話は進む。
これだけだと、どこにでもありそうなストーリー。
なんですけれどもね、
そこが、石田衣良という人の凄さなんでしょうね。
「マタハラ」という言葉があります。
マタニティは、マイノリティだと。
千花子の会社には、産休・育休制度がなかった!
これから、家族を作っていく可能性のある他の社員の為にも、制度について、会社と闘う。
産休・育休の制度というものは、会社によって違いがあります。
千花子の友人の大手企業は、手厚く保証されています。
そうかと思えば、切迫流産で入院中に知り合った弓佳さんの会社では、制度はあっても、形だけ。
結局肩たたきにあい、退職を余儀なくされる。
実際に、そういうところ、あるの、ワタシも聞いたコトがあります。
出産後も働きたいのに、「家庭に入るのが幸せ」と、考えを押し付けられ退職を余儀なくされる。
そうかと思うと、制度を利用するだけ利用して、休職期間イッパイ休んで、復帰せず退職する事を自らが選ぶという人がいるのも知っています。
妊娠・出産後、働くか、家庭に入るか は、それぞれ、どうしたいかは違うはず。
産休・育休制度も、その辺りをキチンと反映したものであるといいのに・・・
なんといいますか、まだ、中途半端な制度になっているところが多いのかなぁ。
今の時代、昔に比べれば、夫婦共働きで子育てをしていく という家庭が多い気がいたします。
時代が変われば制度も変わる。
その時代に生きる人々の生活に合わせた制度改革をお願いしたいものであります。
そのようなコトも含め、千花子は、自分の妊娠・出産をベースに、コラムを書くコトになる。
出産する為の産院についても、自分の足で調べ、コラムにもし、自分自身がどうしたいかも決める。
実の父親・母親との確執も織り込まれる。
産休・育休制度を利用するに当たり、仕事の引継ぎについてもひと悶着。
千花子の築き上げた作家さんとの関係。
美味しい所を攫って行く後輩。
そして、後輩がしでかした作家さんに対する裏切り行為。
そのお蔭で、作家さんと千花子の関係は、今まで以上のものになったし、育休明けに、編集部に戻れることにもなって、結果オーライではあるのだけれど、
どこにでも、美味しいトコだけさらおうとする輩はいるのだなぁと思い知らされたり。
色々あるけど、やっぱり千花子は、物語の主人公だから仕方ないんだろうけれど、恵まれてると思います。
会社には、自分を心の底から応援してくれる先輩と上司がいる。
仕事に関しても順調。更に自らのコラムページまでもらい、人気が出て、ゆくゆくは単行本化してもらえるとこまで話がまとまっている。
マタハラをする人が会社にいなかった。(オバカな後輩はちょっとアレだけど)
旦那は稼ぎは悪いけど、人がイイ。全面的に協力的。
実の父・母との関係の悪さは、そんなの、どこにでもいるだろうと思う程度。弟はそこそこ千花子の味方。むしろ、恵まれている方だと思う。
切迫早産しかけたのは大変なのはわかるけど、多分、立ち仕事の人や、ハードワークな人は、結構な確率でなる。千花子だけが特別なわけではない。
副編集長が言ってたとおり、「1週間の入院」の予定が、結局そのまま出産まで安静が必要と判断され入院・もしくは自宅療養を余儀なくされる人もいる。ワタシが一緒に働いていた人はそうだった。
そうなると、仕事の引継ぎが大変なんですよ・・・
ワタシの場合、引継ぎの申し送りもないまま、全部やらなくてはならなくなり、ワタシがパンクしました・・・・・。
千花子と一緒に、泣いたり、喜んだり、怒ったりしながら読み進めてまいりましたけれど、
読み終わって、振り返ってみると、千花子って恵まれてるなぁ ってのが、感想でしたwww
世の中のお母さんに尊敬と感謝の意を込めて。
旦那は協力したれよ!www
あと、やっぱり、もっと制度は手厚くてもイイのかなぁ と それは思いました。
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